突発性難聴をきっかけに 心は`うつ`に  Sさん

突発性難聴

2020.9.26

無表情で周囲にも反応することもなく、身じろぎもせずに静かに座っているそんな様子のSさんでした。その姿は、声をかけると辛いのかもしれないと思ってしまう感じでした。
セッションの順番になると、Sさんは少しだけ口を動かそうとしたのですが上手くいかず、傍にいる父親の方を見ました。
「10年程前にストレスからか突発性難聴となり、左耳がほぼ聴こえなくなりました。病院回りをし大学病院も行ったけれど、難病だから治らないと医師にいわれました。その頃から仕事にも支障が出始め辞めました。精神的にも辛くなり寝込むようになってしまいました」と父親が経過を説明しました。

武司さんが「よおーし!やるか!」と立ち上がると、Sさんは、

「左の耳鳴りは途切れることなくジェット機の下にいるような音が10年間ずっとです」

と小さな声で話しました。すると、武司さんは

「皆んなには見えない?首から耳の上くらいまで蛇がいる、それを取る!」

と、Sさんの背後に周りました。そして、両肩に乗っているものをまるで大蛇を抱えるかのように相当な力を込めて抱え取りました。「軽くなったかも…耳鳴りはまだあります」と話すSさんの顔には表情がありました。穏やかに微笑んでいるようでした。

武司さんは、更にSさんの両方の耳の近くに手を翳し静止させました。その左右の手は、耳から出てくる何かの圧力のようなものを受け止めているようでした。その後Sさんは「少し小さくなってるかなぁ…ずっと音がしてたから何か自分の中ではよく分からないけれど…」とはにかむように笑って話しました。「精神の方からきてるからな、後は俺に任せとけ!必ず元に戻す!治すんじゃなく、元に戻す」と力強い武司さんの言葉に「はい!」と応えるSさんの顔は安心したような穏やかな表情でした。
「家に帰るともっと良くなってるよ、親と会話ができるからね」の武司さんの言葉に笑顔で頷くSさんがいました。

翌日、セッションを前に昨日とは別人かと思う程に目に力が入り、すっきりした表情で皆に向かって自分自身の様子を語るSさんがいました。

「この調子でいけば、何もかも戻るから」

と優しく語る武司さんをSさんは真っ直ぐに見つめ、クシャクシャの笑顔とはっきりした声で応えました。

「ありがとうございます!」

レポーター k

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